未婚化と晩婚化:日本社会の結婚トレンドとその背後にある要因
日本は少子高齢化が進む中で、結婚に関するトレンドも変化しています。近年、日本では「未婚化」と「晩婚化」という現象が顕著になっています。
未婚化とは、生涯において結婚をしない人の割合が高まることです。
晩婚化とは、初婚年齢の平均が上昇することです。
この記事では、未婚化と晩婚化の現状や原因、影響について解説します。
未婚化と晩婚化の現状
未婚化と晩婚化の現状を見るために、以下の指標を用います。
- 生涯未婚率:50歳時点で結婚したことがない人の割合
- 平均初婚年齢:初めて結婚した時の年齢の平均
- 妊娠・出産・育児に関する意識:結婚や子どもに対する価値観や希望
これらの指標をもとに、日本の未婚化と晩婚化の実態を見ていきましょう。
生涯未婚率は男女ともに増加
生涯未婚率は、一生独身である可能性を示す指標です。日本では、男女ともに生涯未婚率が増加しています。内閣府の少子化社会対策白書によると、2020年時点での生涯未婚率は以下の通りです。
- 男性:25.7%
- 女性:16.4%
これは、男性は4人に1人、女性は6人に1人が50歳までに結婚しないことを意味します。
また、1980年から2020年までの40年間で見ると、男性は約10倍、女性は約4倍に増加しています。特に1990年以降は急激な上昇が見られます。
平均初婚年齢は上昇傾向にある
平均初婚年齢は、結婚するタイミングを示す指標です。日本では、男女ともに平均初婚年齢が上昇しています。厚生労働省の人口動態統計によると、2020年時点での平均初婚年齢は以下の通りです。
- 男性:31.0歳
- 女性:29.4歳
これは、男女ともに過去最高の水準です。また、1970年から2020年までの50年間で見ると、男女ともに約3歳ほど上昇しています。特に1985年以降は上昇幅が大きくなっています。
妊娠・出産・育児に関する意識は多様化
結婚や子どもに対する価値観や希望は、個人や世代によって異なります。しかし、一般的な傾向としては、以下のような変化が見られます。
- 結婚や出産に対するプレッシャーや期待が減少
- 結婚や出産に対する自主性や多様性が増加
- 結婚や出産に対する不安や困難が増加
内閣府の家族と地域における子育てに関する意識調査によると、以下のような結果が出ています。
- 結婚していない男女のうち、約7割が「結婚したい」と回答
- 結婚している男女のうち、約6割が「子どもが欲しい」と回答
- 結婚していない男女のうち、約4割が「結婚していない理由は良い相手と出会えないから」と回答
- 結婚している男女のうち、約4割が「子どもを持たない理由は経済的な負担が大きいから」と回答
これらの結果から、結婚や出産に対する意思や希望はあるものの、実現するための条件や環境が整っていないことが分かります。
未婚化と晩婚化の原因
未婚化と晩婚化の原因は、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。しかし、大きく分けると以下の3つのカテゴリーに分類できます。
- 社会的要因:社会構造や制度、文化や風習など
- 経済的要因:所得や消費、貯蓄や投資など
- 個人的要因:価値観やライフスタイル、性格や能力など
これらの要因をもとに、未婚化と晩婚化の具体的な原因を見ていきましょう。
社会的要因
社会的要因とは、社会全体に影響を及ぼすような要因です。例えば、以下のようなものが考えられます。
- 女性の社会進出:女性が教育や就労において男性と同等の権利や地位を得ることで、結婚や出産を遅らせたりしなかったりすることが可能になった。
- 核家族化:家族構成が親子だけの小さな単位になることで、親からの結婚圧力が減ったり、親族からの支援が減ったりすることがあった。
- 都市化:都市部への人口集中により、地域社会やコミュニティのつながりが希薄になり、異性との出会いや交流が減ったり、孤立感や不安感が増したりすることがあった。
- グローバル化:国際的な人的・物的・情報的な交流が活発になることで、異文化への理解や興味が高まり、国際結婚や留学・海外勤務などを選択する人が増えた。
- ネットワーク化:インターネットやSNSなどを通じてオンライン上で人と繋がることで、オフラインで人と接する機会が減ったり、オンラインでの恋愛や結婚に対する価値観や基準が変わったりすることがあった。