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北朝鮮の現代美術と文化:閉鎖と開放の狭間での模索

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北朝鮮の現代美術と文化:閉鎖と開放の狭間での模索

 

北朝鮮は、世界で最も閉鎖的な国の一つとして知られています。しかし、その中で、現代美術や文化はどのように発展してきたのでしょうか?この記事では、北朝鮮の現代美術と文化の特徴や歴史、国家アイデンティティや外部との関係について紹介します。

 

1. 閉鎖と情報統制下での文化

 

北朝鮮は、1970年代から国を閉ざし、外部からの情報や文化が流入することを極力制限してきました。この状況は、北朝鮮独自の芸術や文化が発展する土壌を提供しました。

 

国家主導のプロパガンダアートが主流となり、美術や音楽、映画などは国の指導者や社会主義イデオロギーを賛美する方向で制作されるようになりました。これらの作品は、国民に国家への忠誠心や愛国心を植え付ける役割を果たしました。

 

例えば、「攻撃戦だ」という曲は、北朝鮮が米国や南朝鮮に対して核攻撃を行うことを暗示し、国民に戦闘意欲を高めることを目的としたプロパガンダソングです。この曲は、2013年に発表された後、北朝鮮のテレビやラジオで頻繁に流され、国民に親しまれました。

 

また、「金日成将軍像」という絵画は、北朝鮮建国の父である金日成(キム・イルソン)2を描いた肖像画です。この絵画は、金日成が革命運動に参加した若き日の姿を描いており、彼の英雄的なイメージを強調しています。

 

この絵画は、北朝鮮では最も有名な肖像画の一つであり、多くの公共施設や家庭に飾られています。

 

2. 現代美術の特徴

 

北朝鮮の現代美術は、リアリズムを基調とした作品が多いです。これは、情報統制の影響だけでなく、北朝鮮の政府が「人民との連帯」を強調するために、一般の人々が容易に理解し、感じ取れる芸術を奨励してきた結果とも言えます。

 

風景画や肖像画が主流となっており、特に指導者を描いた肖像画は高い評価を受けます。また、伝統的な朝鮮画に彩色や西洋画の技法も取り入れた絵画を「朝鮮画」と呼んでいます。これらの作品は、北朝鮮独自のスタイルや美意識を表現しています。

 

例えば、「平壌市街図」という絵画は、北朝鮮の首都である平壌の風景を描いた朝鮮画です。この絵画は、平壌の主要な建造物や記念碑を細かく描き込んでおり、都市の発展と繁栄を象徴しています。

 

また、「朝鮮民族の英雄」という絵画は、北朝鮮の軍人である李順基(リ・スンギ)を描いた肖像画です。この絵画は、李順基が米軍の戦闘機を撃墜したとされる場面を描いており、彼の勇敢さと忠誠心を称えています。

 

この絵画は、北朝鮮では最も有名な肖像画の一つであり、多くの美術館や学校に展示されています。

 

3. 文化の発展と国家アイデンティティ

 

北朝鮮の文化は、国家のアイデンティティの形成に深く関わってきました。例えば、労働党イデオロギーやキム一族の業績を称える歌や詩、映画は、国民の間で絶大な人気を持っています。

 

これらの作品は、北朝鮮人のアイデンティティや価値観を形成する上での重要な要素となっています。また、民族的な伝統や文化も重視されており、伝統音楽や舞踊、民族衣装などが積極的に保存・発展させられています。

 

これらの作品は、北朝鮮人が自分たちの歴史や文化に誇りを持つことを促しています。

 

例えば、「我が祖国」という歌は、北朝鮮の国歌です。この歌は、1947年に制定された後、何度も改訂されてきましたが、その都度、国家や指導者への忠誠心や愛国心を強調する内容に変更されてきました。

 

この歌は、北朝鮮人にとって最も重要な歌の一つであり、多くの場面で歌われます。また、「モランボン楽団」という音楽グループは、北朝鮮最高指導者である金正恩キム・ジョンウン)から直接指導を受けており 、彼らは国家や指導者への忠誠心を音楽に込めています。

 

彼らは伝統的な楽器や衣装を用いながらも、西洋的なポップスやロックなどの要素も取り入れており 、北朝鮮独自の音楽スタイルを作り出しています。

 

4. 国外の影響との関係

 

完全に閉ざされたわけではない北朝鮮の文化界にも、外部からの影響は確認されます。例えば、1990年代には指導者キム・ジョンイル金正日)の指示で外国映画の視聴が奨励され、一部の芸術家や映画制作者には海外の作品と接する機会が与えられました。

 

これにより、北朝鮮独自のスタイルを維持しつつ、国際的な芸術の流れを取り入れる試みも行われています。また、近年では、中国やロシアなどの友好国との文化交流も活発化しており、外部の文化に対する開放度も高まっていると言えます。

 

例えば、「青峰楽団」という音楽グループは、2019年に日本で公演を行った際に、日本の音楽家やファンと交流したり、日本の音楽や文化に感銘を受けたりしたと報じられました。

 

このような経験は、彼らに自国と他国の違いや共通点を認識させるかもしれません。しかし、北朝鮮の厳しい情報統制の下では、このような外部の影響は限定的である可能性が高いです。また、外部との接触が政府に知られた場合、彼らは反逆者として処罰される恐れもあります。


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結論

 

北朝鮮の現代美術や文化は、情報統制下で独自の発展を遂げてきましたが、その中には国家アイデンティティや価値観の強化を目的とした要素が多く含まれています。

 

この独特の芸術と文化は、北朝鮮人の日常生活や思考に深く根付いており、国の統一性や団結を保つための重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

 

しかし、完全に閉ざされたわけではない北朝鮮の文化界にも、外部からの影響や刺激が存在しており、それらとどのように対話し、調和し、創造し続けるかが今後の課題となっています。

 

【参考文献】