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チャオス理論の定義と非線形システムの複雑な振る舞いの説明

チャオス理論

 

チャオス理論の定義と非線形システムの複雑な振る舞いの説明

 

チャオス理論とは、非線形システムが発生する多様な現象を、計算機を用いて理解し、それらを解析するための数理学的ツールの研究です。非線形システムとは、その挙動を記述するための変数として状態が定義されており、その状態の変化の法則は運動方程式で表現される系のことで、その法則に非線形な特性を有するものです。

 

 

非線形システムは、その特徴に応じていくつかに分類されますが、ここでは、時間を表す独立変数を整数、状態を表す従属変数を実数と考え、状態の変化を常差分方程式で記述される系を離散時間力学系と呼びます。

 

チャオス理論は、離散時間力学系が示す不規則な振る舞いを説明するために発展しました。チャオスとは、非線形システムが持つ決定論的な法則にもかかわらず、初期条件に対して非常に敏感に反応し、予測不可能な動きをする現象です。

 

チャオスは、自然界に存在する種々のシステムの本質を表すとともに、工学的に応用する可能性を秘めています。

 

離散時間力学系とカオス

離散時間力学系は、以下の式で定義されます。

 

 

ここで、kは時間を表す整数、x(k)は時刻kにおける状態を表す実数、fは状態の変化の法則を表す関数です。

 

たとえば、fが線形関数の場合、離散時間力学系は以下のようになります。

 

 

ここで、
は定数です。この場合、離散時間力学系の振る舞いは、

 

  • a<1のとき、状態は原点に収束する。

  • a>1のとき、状態は原点から発散する。

  • a=±1のとき、状態は一定値になるか、振動する。

このように、線形関数の場合は、離散時間力学系の振る舞いは比較的単純です。しかし、
非線形関数の場合は、離散時間力学系の振る舞いは非常に複雑になります。

 

たとえば、が以下のような非線形関数の場合を考えます。

 

 

ここで、は定数で、0
x(k)1

 

 

  • 0≤r<1のとき、状態は原点に収束する。

  • 1≤r<3のとき、状態は一定値に収束する。

  • 3≤r<1+√6​のとき、状態は2つの値に振動する。

  • 1+6≤ r<4のとき、状態は複数の値に振動する。の値が増えると、振動する値の数は倍々に増える。この現象を周期倍化と呼ぶ。

  • r=4のとき、状態は不規則に変動する。この現象をカオスと呼ぶ。

このように、非線形関数の場合は、離散時間力学系の振る舞いは非常に豊かで、カオスという予測不可能な現象が発生することがわかります。

 

カオスの特徴

 

カオスは、非線形システムが示す不規則な振る舞いですが、その特徴は以下のようにまとめられます。

 

  • 決定論:カオスは、非線形システムの決定論的な法則によって発生する現象である。つまり、初期条件と運動方程式がわかれば、状態の変化は一意に定まる。しかし、カオスは、初期条件に対して非常に敏感に反応するため、実際には予測不可能である。この現象を初期値感度と呼ぶ。

  • 非周期的:カオスは、非線形システムの非周期的な振る舞いである。つまり、状態は決して同じ値に戻らない。しかし、カオスは、ある範囲内で状態が変動するため、周期的な振る舞いに似ている。この現象をカオス的振動と呼ぶ。

  • 自己相似的:カオスは、非線形システムの自己相似的な振る舞いである。つまり、状態の変化のパターンは、時間スケールや空間スケールを変えても、同じ形を保つ。この現象をフラクタルと呼ぶ。

カオス理論の歴史と応用

 

カオス理論は、20世紀の科学における3大発見の一つとされる。カオス理論の歴史は以下のように振り返ることができる。

 

  • 1890年:フランスの数学者アンリ・ポアンカレが、天体力学の問題を研究して、非線形システムの初期値感度や周期倍化などの現象を発見しました。これがカオス理論の始まりとされます。

  • 1963年:アメリカの気象学者エドワード・ローレンツが、気象予報の計算機シミュレーションで、初期条件の微小な変化が大きな差異を生むことを発見しました。これがカオス理論の発展のきっかけとなりました。

  • 1975年:アメリカの数学者ジェームズ・ヨークが、カオス的振動を特徴づける量として、リアプノフ指数と呼ばれる指標を導入しました。リアプノフ指数は、初期値の微小な変化がどの程度拡大するかを表す量で、正の値を持つときにカオスが発生するとされます。

  • 1976年:アメリカの物理学者ミッチェル・ファイゲンバウムが、周期倍化の際に現れる比率に普遍的な定数が存在することを発見しました。この定数は、ファイゲンバウム定数と呼ばれ、カオスへの移行を表す量となりました。

  • 1979年:アメリカの物理学者ベンジャミン・フィーヘンバウムが、カオス的振動のパターンを視覚化するために、ビフュルケーション図と呼ばれるグラフを作成しました。ビフュルケーション図は、パラメータと状態の関係を表すグラフで、周期倍化やカオスの発生を見ることができます。

  • 1980年:アメリカの物理学者ロバート・メイが、ロジスティック写像のカオス的振動を発見し、生物学や人口学などの分野に応用しました。

  • 1986年:アメリカの物理学者ハリー・スワイニーが、カオス的振動の構造を解析するために、リターンマップと呼ばれるグラフを作成しました。リターンマップは、状態の変化を点でプロットするグラフで、カオス的振動の周期や不規則性を見ることができます。

  • 1987年:アメリカの物理学者ウィリアム・オットーが、カオス的振動の形を表すために、ストレンジアトラクタと呼ばれる概念を提唱しました。ストレンジアトラクタは、カオス的振動の状態が集まる領域で、フラクタルの性質を持ちます。

  • 1990年代以降:カオス理論は、物理学だけでなく、化学、生物学、医学、心理学、経済学、社会学などの様々な分野に応用されました。カオス理論は、非線形システムの複雑な振る舞いを理解し、制御することに役立ちました。

    チャオス理論2



まとめ

 

この記事では、チャオス理論と非線形システムの解説について、その内容や意味、歴史や応用などを詳しく紹介しました。チャオス理論とは、非線形システムが発生する多様な現象を、計算機を用いて理解し、それらを解析するための数理学的ツールの研究です。

 

非線形システムとは、その挙動を記述するための変数として状態が定義されており、その状態の変化の法則は運動方程式で表現される系のことで、その法則に非線形な特性を有するものです。

 

非線形システムは、その特徴に応じていくつかに分類されますが、ここでは、時間を表す独立変数を整数、状態を表す従属変数を実数と考え、状態の変化を常差分方程式で記述される系を離散時間力学系と呼びました。

 

チャオス理論は、離散時間力学系が示す不規則な振る舞いを説明するために発展しました。チャオスとは、非線形システムが持つ決定論的な法則にもかかわらず、初期条件に対して非常に敏感に反応し、予測不可能な動きをする現象です。

 

チャオスは、自然界に存在する種々のシステムの本質を表すとともに、工学的に応用する可能性を秘めています。