連盟特別管理試合とは？歴史を振り返りながら、その意義・影響・現在の動向を解説。競技界における特別な試合形式とその背後に潜む戦略的側面に迫る

連盟特別管理試合

プロ野球の試合は、通常は主催者球団が試合挙行の可否や試合開始時刻などを決定します。しかし、リーグ戦の終盤や日本シリーズなど、優勝争いに関わる重要な試合では、日本野球機構（NPB）が試合管理を行うことがあります。

これを「連盟管理節」または「連盟特別管理試合」と呼びます。この記事では、連盟特別管理試合とは何か、その歴史を振り返りながら、その意義・影響・現在の動向を解説します。

また、競技界における特別な試合形式とその背後に潜む戦略的側面にも迫ります。

連盟特別管理試合とは？

連盟特別管理試合とは、NPBが主催者球団に代わって試合管理を行う試合のことです。具体的には、以下のような事項をNPBが決定します。

連盟特別管理試合は、主に以下のような場合に実施されます。

連盟特別管理試合は、NPBが公平性や安全性を重視して試合運営を行うための制度です。しかし、その一方で、主催者球団やファンにとっては不利益や不満を生むこともあります。

例えば、雨天中止や延期などの判断が厳しくなったり、チケット払い戻しや振替日程などの対応が複雑になったりすることがあります。

連盟特別管理試合は、プロ野球史上初めて1978年に実施されました。当時はセントラル・リーグで巨人と広島が優勝争いを展開しており、最終戦までもつれ込みました。

しかし、最終戦は雨天中止となり、両チームが同率首位でシーズンを終えました。このため、プレーオフ（現在のクライマックスシリーズ）を行うことになりましたが、その際にも雨天中止が相次ぎました。

このような事態を防ぐために、NPBはプレーオフ第5戦から連盟特別管理試合を導入しました。結局、プレーオフは第7戦までもつれ込みましたが、巨人が広島を破ってセ・リーグ優勝を果たしました。

その後、連盟特別管理試合は、1980年にもセ・リーグで巨人と広島が優勝争いをした際に実施されました。また、1985年にはパシフィック・リーグで西武と日本ハムが優勝争いをした際にも実施されました。

この年は、最終戦で西武が日本ハムに敗れて両チームが同率首位となり、プレーオフを行うことになりました。プレーオフでは、第1戦から連盟特別管理試合が適用されましたが、第3戦で西武が日本ハムを下してパ・リーグ優勝を決めました。

1986年からは、日本シリーズも連盟特別管理試合となりました。これは、1985年の日本シリーズで巨人と阪神が対戦した際に、第6戦で雨天中止となったことがきっかけでした。

当時は、日本シリーズの雨天中止は主催者球団の判断でしたが、巨人は自身の都合で中止を決めたという疑惑が持ち上がりました。このような事態を防ぐために、NPBは日本シリーズも連盟管理とすることを決めました。

1990年代以降は、リーグ戦の終盤やポストシーズンで連盟特別管理試合が定期的に実施されるようになりました。また、2004年からはクライマックスシリーズも連盟特別管理試合となりました。

さらに、2020年からは新型コロナウイルス感染拡大防止対策として全試合を連盟管理節とすることが決まりました。これは、感染者や濃厚接触者が発生した場合に迅速に対応するための措置です。

連盟特別管理試合は、プロ野球の歴史や発展に大きく貢献してきた制度です。その意義や影響は以下のようにまとめることができます。

公平性の確保：NPBが試合管理を行うことで、主催者球団の利害や思惑に左右されない公平な試合運営を行うことができます。

これは、優勝争いやポストシーズンなどの重要な試合では特に重要です。
安全性の確保：NPBが試合管理を行うことで、選手やファンの安全を最優先に考えた試合運営を行うことができます。

これは、天候や災害などの不測の事態や新型コロナウイルス感染拡大防止対策などの場合に特に重要です。

影響を最小限に抑える：NPBが試合管理を行うことで、雨天中止や延期などの影響を最小限に抑えることができます。

これは、試合日程や戦力や戦略の調整やチケット払い戻しや振替日程の対応などの場合に特に重要です。

連盟特別管理試合は、現在もプロ野球において重要な役割を果たしています。その現在の動向は以下のようにまとめることができます。

新型コロナウイルス感染拡大防止対策：2020年から2021年にかけて、新型コロナウイルス感染拡大防止対策として全試合を連盟管理節とすることが決まりました。

これは、感染者や濃厚接触者が発生した場合に迅速に対応するための措置です。また、観客動員数や入場制限などもNPBが決定しています。
プレーオフ制度の廃止：2020年からクライマックスシリーズが廃止され、リーグ優勝チームと2位チームが日本シリーズに進出することになりました。

これは、新型コロナウイルス感染拡大防止対策の一環として、試合数を減らすための措置です。しかし、この制度は2021年以降も継続されるかどうかは未定です。
プロ野球再開後初の雨天中止：2020年6月19日にプロ野球が再開されましたが、その日にパ・リーグで楽天対ソフトバンクの試合が雨天中止となりました。

これは、プロ野球再開後初の雨天中止であり、連盟管理節であったため、NPBが中止を決めました。