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金融業界におけるATMシステム不具合の頻発とその背後にある問題点:現代の金融インフラにおける安定性の脆弱性を探る

金融機関

 

金融業界におけるATMシステム不具合の頻発とその背後にある問題点:現代の金融インフラにおける安定性の脆弱性を探る

 

ATM(自動現金預け払い機)は、現代の金融インフラに欠かせないサービスの一つである。

 

ATMを利用すれば、銀行やコンビニエンスストアなどの店舗で、現金の出入金や振り込みなどの取引ができる。

 

しかし、近年、ATMに関するシステム障害が頻発しており、利用者に大きな不便や不安を与えている。

 

 

この記事では、金融業界におけるATMシステム不具合の事例や傾向、その背後にある問題点や課題について解説する。

 

ATMシステム不具合の事例と傾向

 

2021年2月28日、みずほ銀行で大規模なシステム障害が発生した。全国の店舗内ATMの過半数が停止し、キャッシュカードや預金通帳が出てこなくなった。

 

利用者は長時間足止めされたり、警察を呼んだりした。原因は定期預金のデータ更新に伴う不具合だったという。

 

同行は過去にも2002年と2011年に大規模なシステム障害を起こしており、社会インフラとしての信頼性が問われている。

 

2021年3月26日、地方銀行8行とローソン銀行でシステム障害が発生した。ATMやインターネットバンキングが使えなくなり、利用者に影響が出た。

 

原因は日本IBM系のシステムで電源が落ちたことだったという。翌日には復旧したが、多くの銀行に影響を及ぼす事態となった。

 

2021年5月5日、地方銀行20行でスマートフォンアプリでの残高照会などができなくなる不具合が発生した。

 

原因は共通のサービス提供会社である日本NCRのシステム障害だったという。

 

午後1時までに一部の銀行では復旧したが、利用者からは不満の声が上がった。

 

これらの事例から、ATMシステム不具合には以下のような傾向が見られる。

 

  • システム統合や更改などの大規模プロジェクトに伴う不具合

  • プログラム更新や特殊作業などの作業影響やミスによる不具合

  • サードパーティ(委託先やサービス提供者)のシステム障害による影響

これらの傾向は、金融庁が2021年6月に公表した「金融機関のシステム障害に関する分析レポート」でも指摘されている。

 

同レポートでは、これらの傾向に対応するための改善策や課題も示されている。

 

ATMシステム不具合の背景にある問題点と課題

 

ATMシステム不具合の傾向から、その背景にある問題点と課題を以下のように整理できる。

 

  • システム統合や更改などの大規模プロジェクトに伴う不具合

    • プロジェクト管理態勢の不備や設計レビュー体制の弱さ

    • レガシーシステム有識者の高齢化や人材不足

    • IT資産(システム仕様や作業手順書など)の整備不足や品質低下

    • IT人材の育成や教育の不足

  • プログラム更新や特殊作業などの作業影響やミスによる不具合

    • 作業に起因するリスクの認識不足や想定外の事態への対応力不足

    • コンティンジェンシープラン(障害発生時の代替手段や復旧手順など)の整備不足や実効性低下

    • 委託先の作業内容や品質管理の把握不足

    • 導入した機器や製品に対する知見不足や選定手順の不適切さ

  • サードパーティ(委託先やサービス提供者)のシステム障害による影響

    • サードパーティとの情報連携や協力体制の不十分さ

    • クラウドサービスなどの外部依存度の高さと障害発生時の代替手段の確保困難さ

これらの問題点と課題は、金融機関がIT化やデジタライゼーションを進める中で、システムリスク管理に取り組む上で重要なポイントである。

 

金融庁は、金融機関に対して、以下のような改善策を提言している。

 

  • システム統合や更改などの大規模プロジェクトに伴う不具合

    • プロジェクト管理態勢を強化し、プロジェクト全体を俯瞰できる有識者を参加させる

    • レガシーシステム有識者を確保し、引継ぎや教育を行う

    • IT資産を整備し、定期的に見直しや更新を行う

    • IT人材を育成し、教育プログラムやキャリアパスを設定する

  • プログラム更新や特殊作業などの作業影響やミスによる不具合

    • 作業に起因するリスクを事前に洗い出し、想定外の事態へ対応できるよう準備する

    • コンティンジェンシープランを整備し、定期的に見直しや検証を行う

    • 委託先との契約内容や監査体制を見直し、作業内容や品質管理を把握する

    • 導入した機器や製品の性能や特徴を理解し、選定手順を適切に行う

  • サードパーティ(委託先やサービス提供者)のシステム障害による影響

    • サードパーティとの情報連携や協力体制を強化し、障害発生時の対応責任や役割分担を明確にする

    • クラウドサービスなどの外部依存度を適切に管理し、障害発生時の代替手段や復旧手順を確保する

これらの改善策は、金融機関だけでなく、システム開発や運用を行う委託先やサービス提供者にも求められる。

 

金融庁は、金融機関とサードパーティとの間で、システムリスク管理に関する契約内容や監査体制を見直すよう指導している。

 

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まとめ

 

この記事では、金融業界におけるATMシステム不具合の事例や傾向、その背景にある問題点や課題について解説した。

 

ATMシステム不具合は、システム統合や更改などの大規模プロジェクトに伴う不具合、プログラム更新や特殊作業などの作業影響やミスによる不具合、サードパーティのシステム障害による影響という傾向が見られる。

 

これらの傾向から、プロジェクト管理態勢やレガシーシステム有識者確保、IT資産やコンティンジェンシープランの整備、サードパーティとの情報連携や協力体制などが問題点や課題として浮かび上がる。

 

金融庁は、これらの問題点や課題に対応するための改善策を提言しており、金融機関とサードパーティとの間でシステムリスク管理に関する契約内容や監査体制を見直すよう指導している。

 

ATMは社会インフラとして重要な役割を果たしており、その安定性は利用者の信頼に直結する。

 

金融業界は、ATMシステム不具合を防止し、万が一発生した場合も迅速かつ適切に対処できるよう努める必要がある。