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ロバーズChapter5 : 現状と現実

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Chapter5 : 現状と現実

 

街のざわめきと暴動の音が遠くから聞こえる中、エレキック・ストリングス・ロックはコンビニの袋からゲータレードゼリーを取り出し、タイチに投げ渡した。「ほれ、オメェ腹ァ減ってるんだろ?こいつでも飲みながら話を聞きな?長くなるぜ。」

 

急速に冷えきった体に熱を取り戻しつつあるタイチは、飛んできたゼリーを見事にキャッチした。一瞬、戸惑いを見せたが、次の瞬間、彼は疲労と飢えが勝り、ゼリーをがっつくように飲み始めた。その姿を見て、ロックは苦笑いを浮かべた。

 

「ナナシ君の話だが、テメェが裁判所でくたばってる間に、彼は警察との一悶着があったんだ。」ロックが話し始めると、タイチはゼリーを飲む手を止め、彼の顔を見つめた。

 

「警察との一悶着?何が起きたんだ?」

 

「それがな…」ロックは少し考えるふりをしてから話し始めた。「何か大きなヤツを仕掛けようとしていたみたいだ。具体的なことはまだ分からないが、とにかく大規模な作戦に向けて動いていたらしい。しかし、アイツの動きは警察にも漏れず、それが一悶着の始まりだったんだよ。」

 

ロックの言葉を聞き、タイチは瞬く間に表情を硬くした。「ネームレスが何を企んでいるか知らねえが…」彼の目は怒りと復讐心で燃えていた。「俺はあの野郎をぶっ殺す、今すぐにでもだ!!!!場所を言え!!!あのクソ野郎の頭カチ割って脳みそ確認してやらぁ!!!!」

 

その時、ロックは顔を上げ、タイチに真剣な眼差しを向けた。

 

「タイチ、オメェがどれほどネームレスに怒りを感じているかはわかる。でも、アイツのことをただ恨むだけじゃなく、アイツの考えや行動を理解することも大事だ。それが、この混乱の中で自分自身を守るための一つの手段になるからだ。」

 

彼の言葉に、タイチは少し驚いたような表情を浮かべた。しかし、その言葉の重さを理解した彼は、再びゼリーを口に運びながら、うなずいた。「分かった…話を続けてくれ、ロック。」

 

ロックは長い吐息をつきながら話し始めた。「アイツには、あのテロリストの他に、俺含めた15のチームを持っている。それぞれのヘッドがブラックリストと呼ばれてるわけだ。今更だが、俺ァ、ブラックリストのNo.2... A.K.A. エレキック・ストリングス・ロックってとこだなァ...」

 

タイチは彼の言葉をぶっきらぼうに打ち消した。「んなことはどうでもいい。あの野郎は俺をくたばらせた後、どうしたんだ?」

 

ロックの表情が少し暗くなり、彼はため息をついた。「あの後、ネームレスは警察に包囲されちまったが、オメェさんらが協力して設置した、警備員の人質バリケードの地雷を全て起爆させた。酷い有り様だったみたいだぜ。テロリスト共々巻き込んで、ほとんどの野郎どもが穴だらけの真っ赤な肉片に変わっちまったみたいでよ。ナナシ君はその不意をついて、逃亡したらしい。」

 

ロックの声が下がると、彼はタイチを見つめた。「そいえば、テメェよく地雷の爆発で生き残ったなァ。昏睡状態で横たわってたのが良かったみたいだが、致命傷は免れたみたいだしなァ。」

 

その言葉に、タイチは血の気が引いた。彼が思い出すのは、無差別に起爆する地雷の恐怖だけでなく、自分が仕掛けた仕掛けが仲間を奪い、そして彼自身がその生き残りであるという事実だった。

 

ロックの言葉に背筋が凍る。しかし、それ以上に彼を驚かせたのは、自分が未だにネームレスの危険から逃れられていないという事実だった。

 

「俺は…俺はあの男を絶対に許さない。絶対にだ…」タイチはゆっくりと立ち上がり、目の前の男を見つめた。その目には、強い決意と怒りが宿っていた。

 

次の一手はどう出るか、彼自身にもまだ見えていない。だが、彼は確かに一つのことを誓った。ネームレスを追い詰め、そして必ず許さないと。それが彼の新たな目標だった。

 

ロックは深く息を吸い込み、少し疲れた表情で話し続けた。

 

「本題はここからだ。アイツはあの後、メディアでの大々的な報道の嵐に準じて、あらかじめ裁判所でのテロの際に書記に記述させていた本当の正義とは何だっていう演説の内容を、大衆に分かりやすいようにリライトして全てのSNSに大々的拡散したみたいだ。アイツはどこかのお偉いさんとも色々と繋がりがあるらしいからな、インフルエンサーがネタとして取り上げるのも当然だったようだぜ。」

 

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ネームレスは深夜の自室で一人、書記に記述させた演説の内容をスマートフォンに打ち込んでいた。彼の指は画面を速く打ち続け、目は真剣に光りを放っていた。

 

「本当の正義とは何か?」そのフレーズは彼が書き込んだ文章の中に何度も現れ、彼の信念を強く示していた。テロを行ったその後、彼が押し進めていたのは、社会全体の意識の変革だった。

 

続けて彼はテキストを編集し、大衆が理解しやすいように、また、誤解を生まないように丁寧にリライトした。そして、その文章を一つの投稿として仕上げ、自身のアカウントからSNSに公開した。

 

彼がその投稿を公開すると、すぐに多くの人々から反応が寄せられた。好意的なものから非難の声まで、多様な反応が寄せられたが、彼の言葉は徐々に多くの人々に届き始めていた。

 

その後、彼が寝静まった部屋で一人、スマートフォンの画面を見つめていた。画面上の反応を見て、彼は深い溜息をついた。「これが本当の正義か…」そうつぶやくと、彼はスマートフォンを机の上に置き、ベッドに横たわった。その目には疲労と満足感、そして新たなる挑戦への覚悟が混ざり合っていた。

 

ネームレスは浅い眠りから覚め、スマートフォンを手に取った。それは一斉に送られるメールの内容を再確認するためだった。彼は深呼吸を一つし、スマートフォンの画面を見つめた。

 

画面に映し出されたメールの内容は、非情かつ明確な命令だった。

 

「ブラックリスト及びターゲット某所・潜伏員各員に通達、これより日本国内の行政機関及び組織に対して、実力行使を命令する。ターゲットは警察・消防・自衛隊・公安調査庁・内閣情報調査室・気象庁・メディア・他諸々の企業、全てを破壊して攻撃せよ。」

ブラックリスト及びターゲット某所・潜伏員各員に通達、これより日本国内の行政機関及び組織に対して、実力行使を行う。ターゲットは警察・消防・自衛隊公安調査庁内閣情報調査室気象庁・メディア・他諸々の企業、全てを破壊して攻撃せよ。」

 

冷静さを保ちながら、彼は最終確認を終え、一斉に送信ボタンを押した。瞬時に、彼の命令はブラックリストのメンバーや、潜伏している同志たちに届けられた。

 

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オフィスの喧噪が一瞬にして静まり返った。その原因は、社員一人ひとりのスマートフォンに同時多発的に届いたネームレスからのメールだった。その一行一行には、日常を超えた命令が明記されていた。

 

そのメールを読み上げたある男が、何食わぬ顔で上司のデスクに近づいていった。彼の手には、剣のように輝くナイフが握られていた。「鈴木さん、すいません、ちょっといいですか?」その一言と同時にナイフが上司の胸に突き立てられ、血が飛び散る。上司の口からは僅かな吐息が漏れ、その生命は幕を閉じた。

 

「お仕事お疲れ様でした。」

 

オフィス内では一斉にパニックが広がり、各所で社員たちがネームレスからの命令に忠実に従って狂気の行動を開始した。「社長、判子が無いので拳を使います。私は自身のエゴイズムと契約を結びますので」と言い放ち、社長に向かって殴りつける者。

 

「お客様~ご覧ください。このように尊厳を傷つける者に対しての護身にも最適です」と、声高に宣言しながらオフィス家具を乱暴に投げまわす者。

 

「グヘヘヘヘ!!!!!クソ会社が全員死ねッ!!!!焼き肉パーティーの始まりだぜ!!!!」と、業務用のマッチを持ち出し、火をつけようとする者。

 

それぞれが持っていた不満や抑圧された欲望が狂気と化し、彼らの心を蝕む。オフィス内は血と混沌に支配され、悲鳴と歓喜の声が交錯する地獄絵図と化していた。

 

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ブラックリストNo.3 : ブラッド・フレイマー】

 

夜の静けさが自衛隊基地を覆っていたが、それはすぐに終わりを迎えるだろう。沈黙の中を歩くフレイマーの背後から、赤い炎が燃え上がる音が立ち始める。彼は対象となるライフラインを一つ一つ丁寧に断ち切り、彼の声が響く度に新たな炎が夜空に照らされていった。

 

「命令通り、火の海へと変えてやる...おい...血祭りにしろ」

 

彼の冷たい笑みと共に、自衛隊基地は壮絶な炎に包まれた。

 

ブラックリストNo.8 : ブレイン・コンフュザー】

 

彼のターゲットは、国の中枢たる国会議事堂。その操るは鉄壁のデジタル防衛線で、コンフュザーの巧みな手つきで次々と壊れていく。政府の機能が麻痺してしまえば、パニックは避けられない。

 

「この腐った社会のままでは政府機能が麻痺する...アナログ人間どもに逃げ場はあるかな?」

 

次なる戦略がすでに頭の中で形を成していた。

 

「確か、SPは国会議事堂内で唯一武器の所持が可能なんだっけか...」

 

ブラックリストNo.13 : スパイダー・セクサロイ】

 

煌びやかに光るメディアのビルが彼女の獲物。セクサロイの指示の下、彼女が自ら作り上げた無数のドローンがビルを無差別に攻撃し始める。

 

「これで、市民への情報操作も止まるはずね、バイバイ~」

 

彼女の楽しそうな声と共に、ビルは崩壊の一途を辿った。


三者三様、しかし共通の目的をもつ彼らの行動は、やがてタイチの平穏を揺るがすこととなるだろう。

 

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都内某所...離れた廃墟と化したビルの中でネームレスからのメールを無視し、集まって話していた。ワインボトルが転がり、パソコンのスクリーンは未読のメッセージで光っている。

 

ブラックリストNo.5 : マッド・ボルンズ】

 

ブラックリストNo.7 : ギガント・ビースター】

 

ブラックリストNo.9 : プラズマ・テラー】

 

ブラックリストNo.12 : ラビッド・ウルフ】

 

ブラックリストNo.15 : クリムゾン・スローター】

 

彼ら5人は、深夜の空を背に、都心から離れた廃墟と化したビルの中でネームレスからのメールを無視し、集まって話していた。ワインボトルが転がり、パソコンのスクリーンは未読のメッセージで光っている。なぜ彼らがそこにいたのかは誰にもわからない。

 

「ネームレスの命令って、本当にただの命令か?」そう問いかけたのはマッド・ボルンズだった。彼は骸骨のような細い体に長い髪、顔にはつねに高笑いを浮かべている。

 

「正直言って、もうあいつの命令には飽き飽きだよ。」と、ギガント・ビースターはふくれっ面をした。彼の巨体が床を揺らすと、ホコリが舞った。

 

プラズマ・テラーは淡々と言った。「指示を無視するのは危険だ。ネームレスは容赦なく報復するだろうからな。」彼の電子的な肌は、周囲の光を吸収していた。

 

それに対し、ラビッド・ウルフは冷たい目をして言った。「そうかもしれんが、僕はまだ自由だと思うんだ。ネームレスの犬になるつもりはない。」

 

最後に、クリムゾン・スローターはただ黙ってワインを飲み干した。彼の目は激しい炎を灯しており、静かな闘志を示していた。

 

彼らが語り合う廃墟の中、メールは未読のままだった。やる気がなく、指示を無視した彼らは、次の行動を自分たちで決めることにした。それが自由だと彼らは信じていた。何が起こるかは、誰にもわからなかった。

 

ラビッド・ウルフが深い呼吸を一つし、その声が廃墟の中に響き渡る。「酸素と二酸化炭素の循環って知ってるか?」

 

他の四人が彼を見つめ、黙って聞く。廃墟の中には余韻が残るウルフの言葉と、薄闇が舞っている。

 

「元々、毒素であった酸素で一杯だった地球を何とかするために酸素を吸収し二酸化炭素で中和するために生み出されたのが俺たち生き物だ。」ウルフの声が静かに語りかける。

 

「自然の一部であり、生と死を繰り返し、地球と共存し、共生するためにここに存在している。」

 

ウルフは立ち上がり、窓の外を見る。夜の星々が輝き、遠くには大都市の明かりが揺らいでいた。

 

「今じゃ誰も本来の使命を覚えてないくせに、本能でそうなるように誘導されている。地球温暖化問題がそれを物語ってる。」

 

彼は深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出した。

 

「しかしよ、そんな風に俺たちも知らないうちに何者かに誘導されているんじゃないかって思うんだが...」

 

その言葉が静かに響いた。まるで重い鉄の塊が床に落ちるような、そんな重みがあった。

 

他の四人は黙って彼を見つめた。言葉を待っていたが、ウルフはそれ以上何も言わなかった。彼の目に映る夜の星々が、何かを物語っているかのように、静かに輝き続けていた。

他の四人は黙って彼を見つめた。言葉を待っていたが、ウルフはそれ以上何も言わなかった。彼の目に映る夜の星々が、何かを物語っているかのように、静かに輝き続けていた。

 

 

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ビルの頂上に立つ巨大な衛星アンテナが、全国に向けて光の信号を発信し続けていた。その一方で、そのビルの内部では恐怖が支配していた。

 

「貴方たちが報道することによって我々のメッセージは全国へと届く、貴方たちが言論の自由を守るなら、我々の言論を伝えるべきではありませんか?」と言うと、構成員の一人が銃を振り回す。

 

その構成員の言葉に対し、若きカメラマンが一歩前へ踏み出した。「それは違う...言論の自由とはそういうものじゃない。人を脅かして自分たちの主張を強制するなんて...それはただの暴力だ!」

 

彼の反抗に対し、一瞬の間が訪れた。次の瞬間、銃声が響き渡り、彼の身体は床に倒れ込んだ。その悲劇的な光景は、ビル内に響き渡り、メディア関係者たちは言葉もなくその場に凍り付いた。

 

それを見た構成員の一人が続けた。「...では、彼の意志を継いで。全国に我々のメッセージを伝えてくれ。」

 

恐怖に震えるメディア関係者たちは、暗闇に沈む日本の各地で起こっている暴動の様子を報道するためのカメラを回し始めた。それは、絶望的な現実を伝えるための映像だった。

 

テレビ画面に映し出される光景はまさに地獄絵図だった。全国各地で暴動が勃発し、ビルが炎に包まれ、街は混乱に陥っていた。警察や自衛隊は必死に事態の収拾を試みているものの、その努力も到底及ばない状況であった。

 

ビルから飛び出す火花、その下で混乱する群衆の悲鳴。赤や青の光が交差する中で、銃声や爆発音が響きわたる。それはかつて平和であった街が、一週間にして変貌を遂げた。

 

東京タワーは炎に包まれ、その橙色に照らされた街の様子がまるで終わりの世界を思わせた。一方、大阪では市民が悲鳴をあげながらビルから逃げ出す映像が流れ、福岡では道路が一部崩落し、車が次々と穴に落ち込む様子が映し出されていた。

 

九州の病院では患者たちが逃げ出す中、医療スタッフが必死で対応しようとする姿が映し出され、新潟の消防署では消防士たちが火の海と化した街を前に絶望の表情を浮かべていた。

 

そして全てを包み込むように、中継は宮城県自衛隊基地に切り替わった。そこでは地面が陥没し、戦闘機が次々と地割れに落ちていく様子が映し出されていた。

 

画面に映る光景は一瞬で人々の心に恐怖を植え付ける。平穏だったはずの日常が、あまりにも突然に崩壊した。これが現実だということを受け入れるのは、とても困難であった。

 

その光景を、無表情で静かに見つめるネームレス。彼の目には、自らが巻き起こした混沌と破壊の風景に対する一切の感情が感じられない。

 

彼の周囲は暗く、唯一の光源はテレビの画面だけだ。画面から映し出される暴動の様子を見つめる彼の瞳は、冷酷でありながらも何かを求めているように見えた。

 

「全ては順調だ...」

 

彼の口からは、淡々とした言葉がこぼれる。それは、世界を変えるための計画が着々と進行していることを示すものだった。

 

テレビ画面の映像が変わるたびに、彼の目は光を放つ。東京、大阪、福岡、新潟、そして宮城。全ての地で繰り広げられる破壊と混沌。それら全てが、彼の目論見通りに進んでいることを示していた。

 

彼は一つ深呼吸をすると、再び画面に視線を戻した。暴動が続く街の風景、恐怖に顔を歪める人々、そして炎に包まれた建物。全てが彼の計画通りに進んでいる。

 

しかし、ネームレスは知っていた。これは始まりに過ぎないと。彼の目的はもっと大きなもの。それを達成するためには、まだまだ多くの仕事が待っていることを。

 

「ずっと待っている...待っているぞタイチ...楽しみだ...」

 

 

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「っとこんな感じになってるってな。テメェが1週間くたばってる間に色々と状況が変わっちまったってわけだ。オメェがくたばってた裁判所がゴミ捨て場になっちまってるぐらいになァ」

 

ロックの陽気な声が、全身を突き通るように響いた。

 

突然、タイチの視界がぼやけてきた。彼の意識が曖昧になる中で、ロックの言葉が何を意味するのか理解できなかった。

 

「実はな...ゲータレードゼリーに毒を仕組ませておいた。お前は...何やらネームレスのお気に入りみたいだが、正直気に入らない。俺たちの世界で騒がれるのもなんだしな…」

 

冷たい言葉が続き、心の奥底で何かが砕け散る音がした。まるで砂時計の砂が一粒ずつ落ちていくような、止められない時間の流れを感じた。

 

そして、最後にロックは言った。

 

「ちなみにお前の両親を竹槍でぶっ殺せって命じたのも俺だ...タイチ、精々現実を受け入れて仲間の元へ逝けや...マヌケ」

 

その言葉が空気を凍らせた。ロックの声は、まるでおもちゃに興味をなくした幼児のように、残酷で冷たく、そして、無感情だった。

 

「お....お前ェ...あっ...ぁぁ...グ...」

 

タイチは、その言葉の重みに耐え切れず、視界が完全に闇に覆われた。彼の心の中は、混乱と絶望、そして憎しみで満たされていった。

 

暗闇の中、悪魔のような笑い声が響きわたった。それは、罪なき人々の命を奪う者たちの、邪悪な歓喜の声だった。

 

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「アハハハハハ!!!!死んじゃった!!!!死んじゃった!!!!一緒になるって言ったのに!!!!アハハハハハアハハハハハ!!!!」

 

その異常な笑い声の持ち主は、自らを人間の中に隠れた狂気の悪魔と呼ぶ者だった。彼女はナイフを手に持ち、自身の体に深々と突き刺した。その姿は、狂気と執着の化身そのものだった。一瞬の苦痛の後、痛みを歓喜に変え、彼女の口からはさらなる笑い声があふれ、やがて息絶えた。

 

「オウッオウッオウッオウッ....アァッ~アァッ~アァッ!!!!」

 

その横では、違うタイプの狂気を持つ者がいた。彼は死者の遺体に抱きつき、あまりにも異常な愛情をそそぎ込む男だった。血塗られた遺体を優しく撫でるその手つきは、恋人に対する愛撫と変わらなかった。その男の瞳に映るのは、死者の静寂と対照的な、異常なほどの喜びだった。彼は動きもしない肉の塊に欲望を大量に吐き出した。

 

「ハァ...ハァ...ハァ...ハァ....」

 

さらに場を支配するのは、単なる殺戮を楽しむ者たちだった。彼らはサディストの純粋な欲望を持っており、人々の恐怖や痛み、そして死に対する快感を追い求めていた。彼らは、死体をまるでパンチングバッグのように蹴り飛ばし、破壊の快感に酔いしれていた。その暴行により、周囲には砕け散った脳みそが飛び散り、残酷な彼らの嗜好が明らかになった。

 

それぞれが異なる狂気を持ち、それぞれが独自の方法で楽しみながら、彼らはその異常性を露わにした。しかし、それらの狂気が一つになる時、彼らは一つの集団となる。それが彼らの集合だった。

 

ロックは、そんな彼らを横目に見ながら歩いた。彼の手には毒で倒れたタイチを蔑むように持ったゲータレードゼリーが握られていた。彼の表情は、タイチが倒れていく様子を楽しんでいたのと同じように、狂気を孕んだ笑みを浮かべていた。

 

その笑みを見た者たちは、ロックが集合をかける合図と理解した。彼らはそれぞれの楽しみを中断し、ロックの元へと集まり始めた。

 

殺戮を楽しむ者、遺体と性行為を行う者、そして自らの体に傷を負わせて笑う者。彼らは自身の狂気を胸に秘め、一つの集団となった。それぞれの狂気が一つになった時、その力は恐ろしいほどのものとなる。

 

集合が終わると、ロックはゲータレードゼリーを地面に投げ捨て、声を上げた。「さぁ、次へ行くぞ。このフェイクじみた世界を、もっと混沌としたリアルに変えてやる。」その声には、狂気を纏った力があふれていた。

 

彼らの目指すものは何か。その結果、どれほどの人々が犠牲となるのか。それを考えると、彼らの狂気はただの恐怖だけではなく、絶望をも生むものだった。彼らの笑い声は、その絶望をさらに高め、暗闇を更に深くした。

 

そして、彼らの異常な行動は続く。彼らはその狂気を振りまきながら、混沌と破壊の道を進んでいく。その先に待つものが何であれ、彼らの狂気は止まることはないだろう。

 

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