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ロバーズChapter7 : リバティとフリーダム

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Chapter7 : リバティとフリーダム

 

一歩一歩、タイチは左翼の拠点に近づいていった。彼の周囲は色彩豊かで、多種多様な人々が行き交っていた。彼の目に映ったのは、新時代の色彩が混ざり合った、未だ見たことのない景色だった。

 

彼の前に現れたのは、全裸でブラジャーを身に纏い、顔には鮮やかなメイクを施したレディーボーイだった。

 

その隣には、全身に工場の器具を装着したかのような装飾を施したボーイレディーが立っていた。

 

その異形の美しさは一見すると恐怖すら感じさせるものだったが、彼らが生きるこの街では、多様性が尊重されるという原則に基づいていた。

 

その二人がタイチに声をかけてきた。「あんた?IDは持ってるの?怪しいレイシストの臭いがするわね。」彼らの声には警戒と疑惑が混ざっていた。

 

タイチは彼らの言葉に対し、無表情で言葉を返した。「俺の証明書は拳だぜ。ここからは多様性の街なんだろ?」

 

彼の目には戦闘への覚悟が宿っていた。その挑発的な表情は、自身の存在を確認するための試金石とも言える挑戦だった。

 

「なるほどね、それならば証明してみなさい。」

 

レディーボーイがニッコリと微笑みながら言った。その笑顔は危険な予感を覚えさせ、同時にそれが彼らとの戦闘の開始を示していた。

 

対峙する二人は、タイチに対して一瞬も目を離すことなく、巧みに自身の装備を変形させた。

 

レディーボーイは、自身が身につけていたブラジャーを一瞬で外し、そしてそのブラジャーは彼の手品のようなテクニックで瞬く間にブレードクラッシャーへと変化した。

 

一方、ボーイレディーは自身が全身に装着していた工場器具をすべて外し、全裸となるとともに、器具は一体化して大型のチェーンソーに変わった。

 

彼らの動きは、それぞれの個性と強大な力を示していた。その姿には一見すると異質な美しさがあり、その一方で、圧倒的な戦闘力を秘めた危険な存在であることも明らかだった。

 

レディーボーイはそのブレードクラッシャーを手にしながら微笑んだ。

 

「女子力の本領はバイオレンス!!!!私たちの存在を認めないヤツはぶっ殺すだけだわ」

 

彼の言葉には、自身の存在を否定するものへの強い敵意と、その存!在を証明するための覚悟が込められていた。

 

言葉を放つと同時に彼らは襲いかかった。ブレードクラッシャーを振るうレディーボーイの攻撃は華麗であり、その一方で冷酷な切れ味を持っていた。

 

そしてボーイレディーは、全裸になった彼の肉体と共に、変形したチェーンソーを振り回すことで、自身の存在を力強く示した。

 

タイチは彼らの攻撃を躱しながら、自身の拳を突き出した。

 

「多様性とは、自分を認める・カミングアウトすることなのは分かる。だが、それを強引に他者を押し付けて他人のアイデンティティーを否定することじゃねぇぞ!!!」

 

彼の言葉は彼らの攻撃を交わすと同時に、心にも突き刺さるようだった。

 

彼らとの闘いは、タイチ自身の理念と彼らの存在がぶつかり合う形となった。

 

二人が攻撃を止め、ボーイレディーが一歩前へ踏み出した。彼の瞳は柔らかさを増し、胸の奥から湧き出る語り口は、どこか懐かしい感情を予感させた。彼は口を開き、自身の過去を語り始めた。

 

「私は昔、学校でいじめられたことがあるの。毎日毎日、言葉の暴力、肉体の暴力、そして無視という名の暴力に苛まれていたわ。」

 

彼の声は、遠い記憶から引きずり出されるような、重く暗い音色だった。

 

そして、彼の語る物語は、一転して恐怖に満ちたものとなった。

 

「でもね、そう遠くないある日、奴らをぶっ殺してやったの。一人一人、集団で群がっていた奴らが、いざというときには何もできずに震えていたんだから、面白いよね。」

 

タイチは思わず身を引いた。彼の言葉は、自己防衛や報復というより、異常な楽しみや興奮を示していた。さらにボーイレディーは、その感情を強く語り始めた。

 

「殺しはね、サイコーに楽しいの。他人の命を絶つ瞬間、その全てを手中に収める感覚は、マスターベーションみたいなものよ。人間が抱く最も原始的で、禁断の快感なの。」

 

彼の言葉は無邪気さと残虐さを同時に帯びており、タイチを深く戦慄させた。

 

ボーイレディーは一瞬で自身の親しみやすさを取り払い、その瞳には人を凍てつかせるような冷たさが広がっていた。この瞬間、タイチは彼が直面している敵の真の恐ろしさを理解し、これが彼の直面する最大の試為であることを認識した。

 

ボーイレディーの告白によって、タイチの内心に深く眠っていた闇が呼び覚まされた。彼の記憶の中に浮かび上がってきたのは、ネームレスによる裁判所でのテロ事件だった。

 

その日、タイチは自身の力をすべて使っても、仲間たち、カケル、ショウタ、ハジメ、ユウタを助けられなかった。それが彼の抱える最大のトラウマであり、無力感であり、自身を責め続ける理由だった。

 

再びタイチの耳に届くのは、かつての仲間たちの声だった。

 

「タイチ、お前のせいで俺たちは死んだ...」

 

それは残酷な現実を突きつける声であり、幻聴であり、彼の内心の深層から発せられる自己責任だった。

 

それはトラウマが生み出す幻覚であり、彼にとっては絶えず付きまとう自己批判の声だった。逃れられない過去の影。それが今、彼を苛む。

 

タイチは力強く頭を振った。

 

「畜生...分かってんだよ...もう遅ぇって...」

「畜生...分かってんだよ...もう遅ぇって...」



彼の声は自身を責め続ける自己批判に対する強い悔恨と、その罪からの解放を求める切実な願いを込めていた。涙が彼の頬を濡らし、眼前の現実と心の中の過去が混ざり合った。

 

しかし、彼は再び自分自身を取り戻した。深呼吸を一つし、頭を振って自身の意識を引き締め直すと、再び構えを取った。

 

彼の瞳には、再び戦闘の炎が燃えていた。タイチは自分自身に誓った。過去の罪は忘れず、戦い続けると。

 

ボーイレディーはチェーンソーを風般に振り回し、嘲笑の色を浮かべてタイチを挑発した。

 

「健気ねぇ...アンタいや...テメェ、彼女居たこと無いデショ?」

 

彼の挑発は、タイチの内心を突くものだった。青春期のある一面を皮肉るようなその言葉は、タイチの過去と現在、そして未来への不安を露わにする。

 

しかし、タイチは彼の挑発に動揺することなく、反撃に転じた。ボーイレディーの振り下ろすチェーンソーの攻撃を素早く避けると、その隙をついてクロスカウンターパンチを放った。

 

「人に共感出来るほど、俺みたいな野郎の青春に余裕はねぇんだよ。パリピ共と一緒にすんじゃねェ」

 

彼の反撃は、不器用ながらも自己を貫く強さを示していた。彼自身の生き様を否定するボーイレディーの挑発に対して、タイチは自身の生き様を堂々と示し、彼の挑発を一蹴した。

 

彼の言葉は、自分自身が過去に苦しんできた青春期の経験を否定するものではなく、それを背負い、成長してきた証だった。彼の強い意志と、自身の過去を受け入れる強さが示された瞬間であり、その場の空気は一瞬で変わった。

 

彼の反撃は、ボーイレディーに対する一撃であり、同時に自己への一撃でもあった。

 

「クソッタレがァ!!!調子こいてんじゃないわよ!」

 

レディーボーイが激怒し、ブレードクラッシャーを地面に叩きつけた。

 

その衝撃によって摩擦熱が生じ、たちまちクラッシャーは炎を纏う恐ろしい武器へと変貌した。彼女はその火を纏ったクラッシャーを振り回し、タイチへ再度襲いかかった。

 

一方、ボーイレディーもまた、攻撃の意気込みを見せた。

 

「あたし...いやオレに傷を付けたことを後悔させてやる」

 

彼はその言葉とともに、チェーンソーの出力を最高にまで上げると、タイチに向かって飛びかかった。

 

二人の攻撃は、それぞれが抱える感情の熱さを体現したものだった。怒りと憎しみ、そして自分自身への誇り。それらの感情がぶつかり合い、一つの戦闘へと結実していた。

 

だが、その前に立つタイチは動じることなく、戦意を燃やしていた。

 

「良いぜ、ここでイッチョ...本当の多様性ってやつを教えてやるぜ」

 

彼はその言葉を放つと、再び戦闘の構えを取った。

 

熱を帯びたブレードクラッシャーが唸りを上げ、荒ぶる炎が空中を舞った。レディーボーイの攻撃は猛獣のように獰猛で、その刃の軌跡には凶暴な炎が織りなす壮絶な絵図が描かれていた。

 

一方、ボーイレディーは振り回すチェーンソーを最高出力にし、凄まじい音を轟かせてタイチに向かって突進した。その攻撃は高速の嵐の如く、一瞬でタイチの全てを飲み込むかのような勢いだった。

 

だが、タイチはその全てを予測し、躱す。彼の動きは優雅であると同時に、絶対の自信をもっていた。彼のパンチは突風のように繰り出され、レディーボーイとボーイレディーの猛攻を次々と打ち破る。

 

「うるせぇし、熱ぃぜこのアマァ...!!!」

 

タイチは挑発しながらも、少しも気を緩めることなく闘い続けた。レディーボーイとボーイレディーが振るう炎の剣と轟音のチェーンソーは、次第に疲労という無情の敵によって軌道を乱されていく。

 

それでも二人は必死に反撃を試み、熾烈な戦いは続き、その中でタイチは己の肉体を限界まで駆使しながら攻撃を繰り出した。

 

タイチはボーイレディーの魂こと、高出力チェーンソーを狙い、砂利を含ませた拳でチェーンを強く打ち付けた。金属と肉体の衝撃音が響き渡り、チェーンソーの出力は一瞬で弱まった。その瞬間を見逃さず、彼はすぐに反撃に転じた。

 

ボーイレディーが驚愕の表情を浮かべている間に、タイチは猛然と彼の目にパンチを叩き込み、続いて腹部への蹴りを放つ。その一連の攻撃はまるでダンスのように滑らかで、ボーイレディーはその連続攻撃の前に昏倒した。

 

その一部始終を見ていたレディーボーイが、炎をまとうブレードクラッシャーを振りかざし、憤怒の表情でタイチに襲い掛かってきた。しかし、タイチはすでに彼の動きを読んでいた。

 

手にしたチェーンソーで炎を纏ったブレードクラッシャーを弾き飛ばし、その間隙にレディーボーイの間抜けな防御を突いて、痛烈な金的蹴りを放った。その一撃は強烈であり、一瞬でレディーボーイの動きを止めた。彼の顔は痛みでゆがみ、その痛々しい姿はまるでコメディのようだった。

 

そして彼もまた、痛みに耐えきれずに地面に倒れこんだ。その様子を見て、タイチは一息つきながら、彼らに告げた。

 

「これが本当の多様性だ。俺たちはお互いを理解し、受け入れることで、真の強さを得るんだよ。それが暴力であろうとな」

 

タイチはまだ昏倒したままのレディーボーイとボーイレディーから、それぞれのIDを奪い取った。

 

これでタイチの手元には、彼らのすべての情報と権限があった。敗者の名誉を守るためか、または単に念のためにか、彼らが口にした言葉の真偽を確認するためのアクセスが可能になった。

 

身に付けていた汗と血を拭き、疲労感を必死で抑え込みながら立ち上がる。彼の目の前には、これから向かうべき左翼の拠点が存在していた。その大きな建物は夕焼けの中で、何かを静かに待ち続けているように見えた。

 

彼は深呼吸を一つしてから、その道を歩き始めた。道中、彼の足元には倒れていた二人の影が長く伸びていた。その影が示す彼らの存在を確認しながら、タイチは前を見つめて歩き続けた。

 

彼の目には、まだ遠くにある左翼の拠点の門が映し出されていた。それぞれの道を歩んできた者たちが集まり、それぞれの信念と理想をもって戦っている場所。そこには、これから挑むべき敵が待ち受けているはずだった。

 

タイチは確かな決意を胸に、その拠点へと向かう足取りを一歩一歩踏み出していった。今までの戦い、そしてこれからの戦い。彼はその全てを肩に背負って、道を進み続けた。

 

タイチは国境のような大きな門に出くわした。それはまるで、秘境に入る前の儀礼のような雰囲気を漂わせていた。

 

「なるほど、只では通しませんよってか...ここは多様性的な根性を全力で前面に出せってことだな」

 

タイチは深呼吸をして、心の準備をした。それから彼は自身のパンツの中に手を突っ込み、数本の陰毛をひっつかんでひっぱった。その刹那、痛みと同時に彼の声が室内に響いた。

 

「痛ぇぇぇえエエ!!!」 

 

彼の叫び声が響き渡る中、その手に握りしめられた陰毛は、レディーボーイとボーイレディーから奪ったIDカードに粘着テープでしっかりと張り付けられた。血塗られた毛根と混ざり合う皮膚の断片が、IDの表面を覆い尽くしていた。

 

タイチはその作業を終え、静かに立ち上がった。彼の瞳には痛みと決意が交じり合っており、強靭な意志が見て取れた。彼はそのまま受付カウンターに向かって進み出し、カウンターに向かって手に握りしめたIDカードを高く掲げた。

 

「俺は俺だ」

 

その声は堂々としており、宣言のように響き渡った。タイチの言葉は一切の偽りなく、自身のアイデンティティを主張していた。

 

受付カウンターのスタッフは一瞬驚いた表情を浮かべたが、その直後、表情を一変させ、口角を上げた。

 

「パーフェクトポリティカルコレクトネース!!!ウェルカム!!!ハィヤ!!!」

 

その言葉と同時にカウンターのスタッフは大きく腕を広げ、タイチを招き入れた。その行動はまるで門の守護者が勇者を祝福するかのようで、同時に過酷な試練を乗り越えたタイチの勇者ぶりを称えていた。

 

タイチが内部に踏み入れると、そこに広がる光景に彼はただただ圧倒されることしかできなかった。視界いっぱいに広がるのは、左翼の拠点の街並み。それは狂気に満ち溢れた場所で、全てが混沌としていた。

 

すべてが自由で、すべてが許される世界。それは破壊と創造の繰り返し、殴り合いと殺し合いの連鎖。その中で生きる人々の姿は、悲鳴と歓喜、狂気と理性、死と生の狭間で揺れ動いていた。

 

道端で楽しげに談笑する人々、隅々で公然とマスターベーションを行う者たち、街角で露骨に性行為に及ぶカップル、それらすべてが混沌と化した空間に広がっていた。

 

同性愛者も異性愛者も、障がい者も健常者も、彼らはすべて等しく混ざり合い、自由を享受していた。

 

街の至る所で見かける自殺の現場。その場にいる誰も彼もがそれを見て、微塵も驚かない。それは彼らにとって日常の一部であり、絶えず回り続ける生と死の輪廻だった。

 

一見すれば極限まで達した多様性と自由。だが、その実態は混沌と狂気の渦。誰もが自己表現のため、自由のために独自のルールを持ち、それぞれが自分だけの世界を作り出していた。

 

それはまさに無秩序なカオスで、その狂気の渦中に立つタイチは、一瞬自分が何者であるのかさえ忘れてしまうほどだった。

 

突然バイブレーションが耳障りな音がタイチの感覚を震わせる。

 

右翼の店員からの突如として入ってきた連絡音に、タイチの瞳が細まる。その声は耳障りなほどにカジュアルで、刺々しくも目の前の狂乱とは一線を画していた。

 

「おう...首尾はどうだオメェ」と、声の主は問いかけてくる。

 

周囲に漂う狂気に身を潜めながら、タイチは通信機を押し当て、静かに話し始める。

 

「無事に内部に侵入した。だが、ここは...思ってた以上に混沌としている」と、声を殺して報告する。彼の言葉には驚きと混乱が混ざり合い、それは彼が目の前の世界に打ちのめされていることを如実に示していた。

 

店員からの返事は淡々としていた。

 

「そうか、何もかもが予想以上だとはな。ただ、それでも任務は変わらねぇ。左翼のヘッドを探し出せ。そして、写真を送れ。覚えておけ、お前は敵地にいる。潜入捜査員としての能力を最大限に活かせ。周囲と溶け込むように振る舞え。必要ならば関係も築け。さあ、タイチ、任務を遂行するんだ」

 

その声は冷徹で、途方もない任務に対する恐怖や迷いを払拭するように聞こえた。タイチは深呼吸をして、その指示を頭に刻み込む。

 

この狂気の中でも、彼はあくまで任務を遂行する者、それが彼の存在理由だ。揺るがない意志を胸に、彼は再び混沌の街へと足を踏み出すのだった。

 

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場面は一転し、混沌とした街並みから一段と興奮と緊張感が高まるコロシアムへと移った。そこには、ブラックリストNo.15無口なる巨漢クリムゾン・スローターと、ブラックリストNo.3冷徹なる放火爆殺魔ブラッド・フレイマーが対峙していた。

 

二人は模擬試合として、彼らの全力が繰り広げられていた。スローターは鋼鉄のような肉体を駆使して、メリケンサックを振り回していた。その攻撃は風を切り裂くほどの速度で、その構えはまるで山のように屹立していた。

 

一方、フレイマーは細身ながらも機敏な動きでスローターの攻撃をかわし、手にしたダイナマイトで反撃を繰り出す。その手口は冷徹であり、爆発の瞬間を見計らって投げつけるその姿はまるで炎の画家のようだった。

 

コロシアム内は二人の戦いに息を呑む観客で溢れていた。互いの攻撃がクロスする度に観客から大歓声が上がり、その興奮の波は次第に高まっていった。激しい戦いが繰り広げられる中、二人の実力は拮抗しており、優劣をつけることはできなかった。

 

それぞれが互いに全力で戦うことで、互いの真価を見極め、さらなる高みを目指す。そうして彼らは、ブラックリストとしての地位を維持し、そして自身の存在を証明し続けていた。その姿は圧倒的な強さと無尽蔵の闘志を持つ力の象徴そのものだった。

 

緊迫した対立の瞬間、無口と知られるクリムゾン・スローターが深い声で一言を口にした。

 

「ナンバーの肩書きは力の優劣を示すものではないことが理解できたか?」

 

その声はコロシアムを包む騒動の中にも冷静さと深い自信を響かせていた。一瞬、場内の喧騒が静まり返った。

 

フレイマーは彼の言葉を聞き、微笑を浮かべた。

 

「フン...笑わせるな...有象無象共の大将がいい気になるな」と反骨の精神をむき出しに言い放つ。その言葉から、スローターが左翼のヘッドであることを明確に示した。

 

すると、場内の空気が一変した。フレイマーのダイナマイトがより凶暴に炎を噴き出し、スローターのメリケンサックがより力強く振り下ろされる。それぞれの攻撃は音を立てて空気を切り裂き、その強烈な衝撃波は観客席にも届いていた。

 

スローターは巨体を駆使し、一撃必殺のパンチを繰り出す。その一撃は獣のような野性味を湛えており、その力強さは観客をも圧倒していた。

 

一方、フレイマーは冷徹な目を閉じてダイナマイトの炎を操り、周囲の空間を炎で覆った。その火花は見るものを惹きつけ、彼の冷酷なる放火爆殺魔という称号を裏付けるものだった。

 

二人の攻撃が交差する度に、その衝撃はコロシアム全体を震わせた。それぞれが全力を尽くすことで、観客席からは興奮と恐怖の声が同時に湧き上がった。この一瞬一瞬が、左翼のヘッドであるスローターとブラックリストNo.3のフレイマーという二つの強大な力がぶつかり合う、過激な戦闘の真髄だった。

二人の攻撃が交差する度に、その衝撃はコロシアム全体を震わせた。それぞれが全力を尽くすことで、観客席からは興奮と恐怖の声が同時に湧き上がった。この一瞬一瞬が、左翼のヘッドであるスローターとブラックリストNo.3のフレイマーという二つの強大な力がぶつかり合う、過激な戦闘の真髄だった。

 

壮絶な戦闘が展開されていたその中で、突如として両者の耳元で微かなノイズが鳴り響き、それはネームレスからの通信のサインだった。

 

その音は炎と獣のような音響の中でも際立つ存在感を放ち、その意味を瞬時にふたりに理解させた。

 

フレイマーはその音に反応し、炎を操る手を一瞬だけ止めた。「ここまでか...」と彼は淡々と言った。その言葉には悔しさも、不満も含まれていなかった。ただ冷静に、また必然を受け入れるように話したのだ。

 

一方、無口なスローターは何も言わず、ただ静かにその場で立ち止まった。「....」と彼の静寂は言葉にはならず、ただその無言が彼の意志を示していた。

 

「精々...気を付けることだ...メインプランが近くまで来ているそうだ...」フレイマーはそう付け加えると、その場から去っていった。彼の言葉は冷徹でありながらも、その中には彼らの共通の使命感と、それぞれの役割への認識が含まれていた。

 

その後、コロシアムの舞台は一時的な静寂に包まれた。再び戦闘が始まるまでの間、観客席からは息を呑むような緊張感が満ちていた。

 

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フレイマーがコロシアムの内部から姿を消すと、ほどなくして彼の存在感が外部に広がっていった。彼はそこに一人立ち、遠くの影に見える一つの人物を強く睨みつけていた。その人物、それはタイチだった。

 

フレイマーの目は鋭く、その炎のような視線は遠くのタイチにまで届いていた。彼は何も言わずにただ睨みつけるだけだったが、その沈黙が彼自身の存在をさらに強く示していた。

 

それに気付いたタイチは不安そうな表情を浮かべた。彼は自分が何かの視線に捉えられていることを感じていた。

 

しかし、何が起こっているのか、何が彼を睨みつけているのかはまだはっきりとは分からなかった。「何だ...?」と彼は口にした。それは混乱と不安、そして一抹の興奮が混ざり合った感情が出た言葉だった。

 

その後、フレイマーは一言も発することなくその場を去った。彼の去り際の後ろ姿は、まるで影が闘士のように存在感を放つ姿だった。それを見つめるタイチの心は、ますます混乱と興奮で高まっていった。

 

「メインプランは異常なく進行中...」

 

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